Q.中学生になったら急に虫歯が増えました。なぜですか?
A.保護者による仕上げ磨きが終わり、部活動などにより生活習慣が崩れるなどの原因が考えられます。
小学校卒業まで、保護者の方による仕上げ磨きがすすめられています。親の管理のもとにあるうちはよく磨けているため、虫歯になりづらいです。しかし中学入学後は、仕上げ磨きも卒業するため、お子さん自身の歯磨きの程度に依存します。ていねいに磨けていなければ、その分むし歯になるリスクは高くなります。
また中学入学後は部活動が始まるため、生活習慣、食習慣が乱れやすくなります。スポーツ系の部活をしていると、スポーツドリンクを飲む機会が多くなるかもしれません。しかし、スポーツドリンクの中には多くの砂糖が含まれています。水を飲む代わりにスポーツドリンクを飲み続けると、歯の表面が酸によって溶かされて柔らかくなり、虫歯になりやすくなります。部活に入っていなくても、塾などによって食事の時間が不規則になったり、帰る時間が遅くなって、歯磨きがおろそかになりやすいです。
虫歯を予防するために、以下のことを心がけましょう。
1.フッ素入りの歯磨き粉を使用する
2.定期的に歯科医院でフッ化物塗布してもらう
3.歯科医院でブラッシング指導を受ける
Q.食後いつ磨いたらいいですか?
A.ご飯を食べてからすぐに磨きましょう。
以前、「食後30分は磨くのを控えましょう」と歯科医院で言われたことがあるかもしれません。通常、お口の中のpH値は中性ですが、食後はpH値が一気に酸性に傾きます。
そのため歯の表面のエナメル質が酸によって溶かされ、柔らかくなります。
そこを歯ブラシでゴシゴシとこすると歯に傷が付くため、口腔内が中性に戻るのを待ってから磨くのを勧めるために、「食後30分以内は磨くのを控えましょう」と言われてきました。
しかし、最近では「食後待たずに、すぐに磨きましょう」と言われています。お口の中に食べ物が入ると口腔内は酸性に傾きます。
そして口腔内に入った食べ物の中に含まれるショ糖を利用して、虫歯菌は酸を作り出し、それによって歯のエナメル質が徐々に溶けてしまいます。
そのため、食後30分間歯を磨かないと、お口の中は余計酸性になってしまい、虫歯を作り出しやすいのです。
30分待ってから歯を磨くより、出来るだけ早く歯磨きをして、食べ残しやプラーク(歯垢)を取り除いたほうが、望ましいです。
Q.歯ブラシはどのくらいで交換したらよいですか?
A.衛生的な面も考えて、1ヶ月に1度は交換しましょう。
歯ブラシを交換する目安は1ヶ月に1度です。なかには3ヶ月、また半年同じ歯ブラシを使うという方も時々おられます。
しかし、長期にわたって同じ歯ブラシを使うことは不衛生です。歯ブラシを水ですすぐだけではブラシについた汚れを落とすことはできません。
湿った環境では菌が繁殖しやすくなります。不潔な歯ブラシで歯を磨くことは、歯に汚れをなすりつけるようなものです。毎月新しいものに交換しましょう。
また歯ブラシを長期間使用すると毛先が劣化し、汚れの除去効率も大きく下がります。実際ある調査によると、毛先の少し広がった歯ブラシは、新品の歯ブラシと比べて60%しか汚れを落とせないということがわかりました。同じように磨いているつもりでも、歯ブラシの劣化によって、汚れが残ってしまうのです。
力強く歯磨きすると、1ヶ月経っていなくても徐々に毛先が開いてきます。
毛先の開いた歯ブラシは、歯ぐきを傷つける原因ともなります。毛先が開いているなら、例え1ヶ月経っていなくても新しいものに交換しましょう。
ブラッシング圧の強い方はたいていの場合、歯ブラシを握りながら磨きます。そうすると余計な力がかかりやすくなります。
えんぴつを持つように歯ブラシを持つなら手首の力が抜けるため、程よい力で磨くことができます。
Q. 歯磨きのときに気を付けるポイントを教えてください
A.ゴシゴシと力強く磨くのではなく、優しくていねいに時間をかけて磨きましょう。
ゴシゴシと力を入れて磨いた方が、汚れが落ちると思われるかもしれません。しかし、力を入れて磨いてしまうと、歯ブラシの毛先がうまく歯の表面にフィットしないため、逆に汚れが落とせません。それどころか歯の根元部分や、歯ぐきを傷つけてしまう可能性もあります。正しい歯磨きの圧力はだいたい100〜150g程度と言われています。量りを使って100gがどれくらいの力か、一度計ってみてください。思ったよりもほとんど力がいらないことに気づかれると思います。
特に汚れが残りやすい部位は、主に3か所あります。
1.奥歯の溝
噛み合わせの溝は、形が複雑ですし、クッキーやキャラメルなどの粘着性のある食べ物がは入り込みやすいです。注意して磨きましょう。
2.歯と歯ぐきの境目
ここにはポケットと呼ばれる溝があります。歯ブラシを斜め45°の角度で当てて、ポケットに中まで汚れを書き出すようにしましょう。
3.歯と歯の間
歯と歯の間は汚れが残りやすいため、むし歯になるリスクが高いです。歯ブラシで磨いた後に、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して細かい汚れを落としましょう。
なぜ虫歯になるの?<お口のQ&A>
虫歯の原因は主に、歯質、細菌、糖質、時間の4つあります。
①歯質
歯質(歯の質)は、個人差があります。歯の表面を覆っているエナメル質は、骨よりも固く、体の中で一番硬い組織です。このエナメル質がもともと丈夫な方もいれば、弱い方もいます。歯が丈夫な方は虫歯菌が出す酸にさらされても、なかなか歯の表面が溶けないため、虫歯になりにくいです。
②細菌
お口の中には「ミュータンス菌」という虫歯菌が常在しています。このミュータンス菌は、お口に入ってきた食べ物や飲み物に含まれている“糖分”をエサにして酸を作ります。エナメル質はpH5.5よりも下がると徐々に溶けていきます。そのためミュータンス菌の数が多いほどが作り出される酸の量も多くなります。そのため虫歯になりやすくなります。
③糖質
ミュータンス菌は糖を分解して、酸を作り出します。そのため、甘い食べ物や飲み物をだらだらと食べているとその分、酸の産生量は増えるため虫歯になりやすくなります。
④時間
上記の③つの要素が重なる時間が長ければ長いほど、虫歯になりやすくなります。
その他の要因としては、唾液の性質があります。唾液は酸性に傾いたお口の中を中性に戻す働きがあります。この力が弱いと、虫歯になりやすくなります。また歯並びが悪いとどうしても磨き残しが多くなり、虫歯になりやすくなります。食習慣を見直したり、フッ化物の入った歯磨き剤を使用するなどして、虫歯予防していきましょう。
フロスは必要ですか?<お口のQ&A>
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを落とせないため、フロスの使用が必要です。
実は丁寧に磨いているつもりでも、歯ブラシだけでは全体の60%程度しか汚れが落とせないと言われています。40%も磨き残しがあるのです。その磨き残しはたいていの場合、歯と歯の間にあります。歯ブラシだけでは歯と歯の細かい隙間まで磨くことができません。そのため、デンタルフロスで歯と歯の間をキレイにお掃除する必要があるのです。
歯と歯の間の汚れを放置していると、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。歯と歯の間にプラーク(細菌の塊)が付着していると、その中の細菌から出される酸によって虫歯になりやすくなります。またそのプラーク中の細菌によって歯茎や、歯を支える周りの組織に炎症が起きます。これが歯周病の始まりです。虫歯と歯周病を予防するには、毎日デンタルフロスを使うことは欠かせません。
デンタルフロスを使うことはその他にも多くのメリットがあります。例えば、歯と歯の間の虫歯を見つけやすくします。デンタルフロスを使ったときに、引っかかる場合虫歯になっている可能性があります。歯科医院で見てもらいましょう。また学童期の子供のお口の中は、乳歯と永久歯が混在しています。そのため歯と歯の間に食べ物が挟まりやすいです。子供にもデンタルフロスを使う習慣をつけさせましょう。
乳歯の虫歯は、永久歯に影響があるの?<お口のQ&A>
乳歯の虫歯が永久歯に及ぼす影響は、主に4つあります。
1.永久歯の虫歯発生リスクが上がる
乳歯が生えている時期に虫歯があるお口の中と、虫歯がないお口とでは、虫歯菌の数に大きな差があります。虫歯菌が多ければ多いほど、虫歯になるリスクは高くなります。例えば、乳歯にある虫歯が隣に生えてきた永久歯に接すると、永久歯まで虫歯になる確率が高まります。
2.永久歯の歯並びに影響を与える
乳歯の虫歯が大きい場合、その歯を抜かなければならないことがあります。本来抜ける時期よりも早くに乳歯がなくなると、後続の永久歯が生えてくる十分なスペースを確保できなくなります。そうすると後続の永久歯がずれて生えてくるため、結果として永久歯の歯並びが悪くなってしまいます。
3.顔の顎骨の発達に影響を与える
乳歯に大きな虫歯があると、痛みを避けるため無意識のうちに痛くない側の歯で噛むようになります。そうするとお口の周りの筋肉の発達、また顎骨が偏って発達する原因になります。
4.栄養状態の悪化
乳歯に大きな虫歯があると、食べ物をうまく噛むことができません。ちゃんと食べ物を咀嚼できないと、栄養分を体があまり吸収できなくなり、結果として栄養状態が悪化します。
乳歯の虫歯は、永久歯に大きな影響を与えます。必ず夜は保護者の方が仕上げ磨きをしたり、定期的に歯科医院でフッ化物塗布をしてもらうなどして、虫歯を予防していきましょう。
歯は毎食後磨いた方がいいの?<お口のQ&A>
できるだけ毎食後磨きましょう。
食べたあと必ずお皿を洗いますね。一度使ったお皿を洗わずに何時間も放置し、その後また使うことはしないと思います。そのため食後は必ず歯磨きをして、口腔内をキレイにする必要があります。
ごはんを食べるとどうしてもお口の中には食べかすが残ってしまいます。それを放置していると、お口の中に常在している細菌がその食べかすをエサに繁殖していきます。その際に出される酸によって歯が徐々に溶けて虫歯ができたり、また細菌が出す毒素によって歯を支える周りの骨である歯槽骨が溶かされていくと歯周病になったりします。虫歯も歯周病もひどい場合、歯を抜かなければなりません。虫歯や歯周病を予防するためには、歯磨きは欠かせないのです。
できるだけ毎食後、歯磨きしましょう。仕事場や外出中など、やむを得ず歯磨きができない場合は、うがいだけでもしてください。また、寝ている間はほとんど唾液が分泌されません。そのためお口の中が乾燥して、歯周病菌や虫歯菌が繁殖します。できるだけ菌の繁殖を防ぐために夜寝る前はしっかりと、できれば10分ほど時間をかけて、一日の汚れをキレイに落としましょう。
子供の矯正は何歳からすれば良いですか?<お口のQ&A>
6歳頃に一度矯正歯科で診てもらいましょう。
歯並びは、見た目の印象を大きく左右します。それだけでなく、噛合わせがズレていると、筋肉や骨の発達にも影響を及ぼします。またよく噛むことができないと消化吸収能力が低下し、全身の健康にも影響があります。そのため、当医院では積極的に矯正治療をおすすめしています。
子供の歯並びが気になる方は、できれば6歳くらいから矯正歯科で診てもらいましょう。6歳ごろに6歳臼歯という第一大臼歯が生えてきます。このころにだいたいの歯並びが決まってきます。本格的な矯正治療を何歳ごろから始めるべきか、顎を拡大させる装置などを着ける必要があるかどうか、診てもらうのに良い時期といえます。
本格的な矯正治療は、成長が止まってから短期間で一気に行うことをおすすめいたします。歯と歯の重なりが強かったり、前歯が前に出ている場合は、抜歯する可能性もあります。ブラケットという金属の装置を歯の表面に貼り付け、徐々に歯を動かしていきます。
矯正治療が可能なのは子供だけではありません。大人も可能です。大人の場合は、矯正期間に1年から4年ほどかかります。その後リテーナーという保定装置を装着します。
矯正治療について気になる方には矯正歯科をご紹介いたしますので、どうぞご相談ください。
親知らずは抜いた方がいいのでしょうか?<お口のQ&A>
親知らずの手前の歯が虫歯・歯周病になったりするため、抜いたほうがいいです。
親知らずとは、18歳以降に生えてくる8番目の歯、一番奥の歯です。親知らずは斜めに生えてきたり、真横に生えていたりすることもあれば、親知らず自体がない方もいます。真横に生えている場合、人によっては一生表に出てこないで、骨の中で埋まっていることもあります。
親知らずがあると、以下のようなデメリットがあります。
- 虫歯になりやすい
親知らずは一番奥にあるため、歯ブラシが入りづらいです。そのため親知らずやその1本手前の歯が虫歯になりやすくなります。 - 歯周病になりやすい
親知らずの周りは磨きづらいため、その周りで細菌が繁殖し、歯茎に炎症が起きます。この炎症を放置していると徐々に周りの歯槽骨も溶けてきて、歯周病が進んでしまいます。 - 妊娠中は抜歯できない
女性の方であれば、妊娠中にたとえ親知らずが痛くなっても抜くことができません。そのため早めに抜くことをおすすめします。
当医院では、親知らずの抜歯も行っています。骨の中に埋まっている親知らずも、下歯槽管という顎骨の中の神経に近くない限り、抜歯いたします。危険な場合には、総合病院の口腔外科を紹介いたします。